Macの弱点は「マイノリティであること」に尽きます。人々は閑散としているラーメン屋よりも行列ができているラーメン屋に魅かれるのと同じで、対応する周辺機器やソフトウエアの数が少なければ、それだけでネガティブな印象、先入観を持たれがちです。しかもそれは単なる風評ではなく、実際にできることが制限されるわけですし。
近年、Macの販売数は伸びているそうですが、それ以上にWindows PCが売れれば、やはり埋没してしまいます。
しかしながら、Appleにはそのような状況を打破しようという気概が見られません。洗練された意匠、定評のある使いやすさ、iPod人気、ジョブズの天才的なプレゼンテーション、チープなコントのCM、これら全てを擁しても現在のシェアに留まっているというのに。
そこで、私がAppleの姿勢で問題だと思う点を上げてみようと思います。
1)ミッドレンジのデスクトップ機がない
端的に言うと、拡張ボードを挿せる機種が30万円を超えるMac Pro一つしかない点です。これでは周辺機器メーカーは自社製品のMac対応に二の足を踏むことでしょう。Mac ProとMac miniの間を埋める機種が必要です。
とは言え、この点は、さほど深刻な問題ではありません。今日、Macはラップトップ型の方が多く売れているようですし、USB2.0に加え、より電力供給力に優れたFireWireポートを例外なく搭載しているため、取り回しの煩雑さに目をつぶれば外付けでも構わないのですから。
2)Mac系のSEを育ててこなかった
何よりもこの点が大きいのではないかと思います。つまるところ、Mac向けのデバイスドライバやユーティリティソフトを作れる人材の確保がままならなければ、サードパーティ各社は必然的に手慣れたWin版のみで製品展開せざるを得ないのでしょうから。
Mac OS Xには「先進的」という評判の開発ツール一式が無償でバンドルされていますので、その気になれば誰でも追加投資なしでプログラミングを始められます。加えて、Appleの開発者向けサイトでは膨大な数の資料が提供されています。しかしながら、その中で和訳されているものは、ほんの僅かです。
「プロならば英語の技術資料くらい読めて当然」という根強い意見があるのは承知しています。ごもっともです。今それを生業とするなら必須のスキルですよね。現役のMac系エンジニアはきっと英語力と開発力を兼ね備える優秀な方ばかりなのでしょう。心から敬意を表します。
でも、ソフトウエア開発に関心を持つ人が必ずしも英語に堪能とは限りません。それに、英語の資料を読み解けることは、常套手段、近道ではあっても、決して終着点ではありません。プログラミングの目的は、あくまでも「有用なソフトウエアを作り上げること」のはずです。
加えて、世の中に、日本語で書かれたWindows向けのプログラミング入門書、解説書、虎の巻、そして就職の口がたくさんあり、学校カリキュラムにも採用され、大勢の先人もいるような状況下で、「どうもMacのプログラミングは取っつきにくい」「敷き居が高そうだ」「Windowよりも大変そう」との印象を持たれれば、これまで通り、多くのルーキーがWindows陣営に流れることでしょう。結果、Mac対応の周辺機器やソフトウエアは、なかなか増えていきません。
対Windowsでシェア1/30という現実を考えれば、Appleは過保護的と揶揄されるくらいの開発者育成方針を取って然るべきだと思います。例えば、Apple Store各店で「Macプログラミング入門」といったワークショップを定期的に開くとか。最初の一歩は、実際に見聞きした方が理解が早いですしね。
他にも、アップル日本法人がオフィシャルにWikiみたいな仕組みをこしらえ、貢献者をWWDCで表彰するなどして、有志の手で次第に和訳資料(特にリファレンスマニュアルの類い)や入門の手引きなどが充実していくような状況を作ると良いのではないでしょうか。
そうして学生さんやWindows系のエンジニアにも興味を持ってもらい、「Macのソフト、作れますよ」と言える人を地道に増やすことが、Macがこの先も健全に生き残るために必要な種蒔きなのだろうと思います。
私はMac OS Xそれ自体は、いくつもの点でWindowsよりも優れていると考えていますが、ビジネスシーンにおけるエコシステムの形成という観点から見れば、大きく劣っていると感じます。
mosaのような外郭団体のドキュメントにリンクを張ってお茶を濁しているようでは、いつまでたってもWindowsと肩を並べるだけの評価は得られないでしょう。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
へたれ on 2007/05/23
プログラマーやってますが、MacのPGやSEってやはり全然聞かないですよね。
MacでもJavsやCの開発は出来ますが、それはWinでも当然出来ることですし、Macネイティブなプログラマーって一体どれくらいいるんでしょう?
特にビジネス向けアプリではほぼ
Winが独占していますよね。
MSには実に簡単に開発できるVisualStudioがあります。この事もけっこう
重要かと
でもwin嫌い on 2007/05/07
凡人さん、コメントありがとうございます。確かにネットトレードもそうですね。パッケージアプリならともかく、ブラウザベースのサービスで門前払いをくらうと、虚しさを感じます。
それに、私もシェア10%程度が妥当な狙い所だと思います。その水準まで来れば、見込み市場の規模はWinの数分の一程度に縮まるはずなので。
最後の一行、とても励みになります。今後ともよろしくお願いします。
PowerYOGA on 2007/02/13
やはりマイナーであるために味わう悲哀って多いですよね。ネットトレードサイトでは、未だにIEとNetscapeしかサポートしないところも少なくなく、野村に至ってはMacは完全無視状態です。こういう現状を良しとするるMacユーザーがいたら仙人と崇めたいと思います。
このような悲惨な状況を改善するためには10パーセント程度のシェアは最低限必要ではないかと思います。
CMですが、アメリカで流しているものを焼き直しただけのやっつけ仕事と非難されても反論できないはずです。効果が数字に表れていないのですから。ちなみに福島では、アップルのCM(MacとiPod)をTVで見たことがありません。
今後もPowerYOGAさんの問題提起を楽しみにしています。
凡人 on 2007/02/13
?さん、コメントありがとうございます。
> 日本でのMacはそんなにマイナーですか?
そう思いますよ。ここで問題にしているのは相対的な差による必然の結果です。「マイナー」という言葉から受ける「至らなさ」的なニュアンスとは違いますし、確かに全体としてのパイが大きければ一かけらでもお腹いっぱいにはなりますが、ネットTVサービスを始め、Macが黙殺されている現実は否めません。
>英語を母国語としない国でもっとMacのシェアは低いけど、アプリをつくっている人っていませんか?
もちろん、少なからずそのような方はおられることでしょう。では、?さんはこう考えられてはいかがでしょうか?
「そのような国でも、もう少し開発者支援があれば、お国ならではのアプリも増えて、Macの国内シェアも上がるかもしれない」と。
開発者への支援は、ファッショナブルな広告一辺倒になりがちなAppleの販売戦略を補完する一つの手段だと思います。
PowerYOGA on 2007/02/12
Appleは日本の企業ですか?日本でのMacはそんなにマイナーですか?英語を母国語としない国でもっとMacのシェアは低いけど、アプリをつくっている人っていませんか?自分の身の回りだけの事、『世の中』と言ってませんか?
? on 2007/02/12
blue-moonさん、コメントありがとうございます。
ご指摘の内向きの施策は「最近でこそWinに近づいていますけど」とおっしゃっている通り、ずいぶん改善されてきたんじゃないかと思います。昔ならWin版のiTunesなどは登場していなかったかも知れません。Winのやり方が必ずしも正解ではないとしても、多くの人々が慣れ親しんだデファクトスタンダードに歩み寄ることは重要ですよね。
「偏狭なCM」に関しては、あれで賛同者を得たいのではなく、敢えてツッコミどころ満載の状態で放映して、あれこれ言ってもらうことで注目度を上げようという作戦なのだと私は理解しています。
それにしてもHyperCardが出てくるとは、お古いですね。実は私も20年近く前にHyperCardが使いたくて最初のMacを買ったものです。
PowerYOGA on 2007/02/11
内向きの施策というのもあるんじゃないでしょうかね。
最近でこそ、Winに近づいていますけど、かつては、優れていたがゆえに、他との連携が遅れました。
HyperCardは、マルチプラットフォームに進むことはなかったし、Internetにも乗り遅れました。
Flashなどの優れた技術の採用も遅れています。
自前のサイトもQTに拘っているし、iTunesは、swfを扱っていません。
排他的かつ妄信的Macユーザーを生み出すような偏狭なCMなどもマイナス要素かと思います。
blue-moon on 2007/02/11
闇黒堂さん、コメントありがとうございます。そう言っていただけると励みになります。
Appleならぬアップルは労力のほとんどをファッショナブルな販促活動のみに費やしているようにも見えますよね。サードパーティを含めた市場全体をもり立ててこそ、Macの求心力が高まり、より大きなリターンが生まれてくるのだと思います。
でも、Appleには味方でさえ冷徹に切り捨ててきた過去もあるんですよね...。
PowerYOGA on 2007/02/10
Mac関係の記事で久しぶりに筋が通った記事を見た気がします。
SEに関してはとてもうなずけました。AppleはともかくAppleジャパンは仕事しなさ過ぎと思います。
映像配信に関しても対応してるところが皆無の現状も責任はAppleジャパンにあるのではないかと思います。
iTunesストアの活用のされなさにも怒りを通り越して呆れるというか哀れささえ感じてしまいます。
ミドルレンジのデスクトップに関しては僕は必要ない派です。
Winマシンでも同じだと思いますが、ミドルレンジのデスクトップ(ノートも同じだと思いますが)って結局何をやるにしても中途半端に終わってしまうだけで使い道がない機械だと思うのですが。
闇黒堂 on 2007/02/10
Takeruさん、コメントありがとうございます。
> は内容がいつのまにか対象が日本市場限定になってますね。
おっしゃる通りです。日本限定の話として書きました。
> 無理にエンタープライズ市場に踏み込まなくても良いかな、とは思います。
同感です。sionさんへのお礼にも書きましたが、私の思いも「AppleがMicrosoftに成り代われ」ではなく、過小評価されない程度にMacのシェアを上げる必要があるのではないか、ということでした。
PowerYOGA on 2007/02/10
sionさん、私とは意見が合わないようですが、ともかくコメントありがとうございます。
念のために言っておくと、私も1989年以来の、割と年季が入ったMacユーザーです。今では必要に迫られてWinも使いますが、まあ、Macの良さとWinの出来の悪さを再確認するような日々です。もし、「Macの弱点」ならぬ「Windowsの弱点」というエントリーを書くとすれば、膨大な長文になることでしょう。
その私が気にしているのは、Macのシェアが低いがゆえの過小評価の部分。もちろん、Microsoftと同じことをしてみせろということではなく、注力の先を変えれば、今よりもMac関連の市場をもり立てることが出来、その結果、既存のMacユーザーにも多大な恩恵がもたらされるはずだ、ということです。例えば、MacでもGyaoを始めとしたネットTVが見られればいいのに、と思っている人は少なくないですよね。
PowerYOGA on 2007/02/10
1)ミッドレンジのデスクトップ機がない
は強く同意で20万以内で拡張性のあるモデルを待って居るんですが・・・
2)Mac系のSEを育ててこなかった
は内容がいつのまにか対象が日本市場限定になってますね。
私はソフトウェア開発にはまるっきり縁がないのですが、アメリカあたりでもドキュメントが不足しているのでしょうか?
無理にエンタープライズ市場に踏み込まなくても良いかな、とは思います。
まあ、私としては5〜10%位のシェアで安定してくれると良いなぁと。
困らない程度にそこそこソフトもあってセキュリティ面の不安もない・・・そんな理想は無理でしょうかね。w
Takeru on 2007/02/10
愚問ですな。
Macは『マイノリティだからこそ』今こうやって進化してきたのでは?
ビジネスにおけるエコシステム?
上等です。そんなもん、必要もないでしょう。
そもそも、単純な数だけで『SEを育ててこなかった』と言えるんでしょうか。
少なくとも、Macのソフトウェア開発をしている方々は、烏合の衆ではないですし、遥かに質が高いと思っていますが。
そういうシェア云々の主張も結構です。
が『それでもMacを使う理由』をお考え下さい。
本質が理解出来るでしょう。
90%を超えるシェアを確保しておきながら、僅か数%のOSの『取るに足らないCM』に噛み付く程、彼らは何にも勝利していないのですから。
sion on 2007/02/09
ルート134 on 2007/02/09
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